AI映像を制作しても、結果が安定しない。
同じ構成・同じテンポ・同じ品質で作っても、数字がまったく違う。
その現象を「運」で片づける人は多いが、実際には明確な構造がある。
本稿では、貞子風ホラーで完了率115%を記録した直後に失速した「アライグマのクリーニング店」をもとに、YouTube Shortsの推薦挙動を一次データで検証する。
データ比較と異常値の発生点
成功作と失速作の差を数値で見る
前作の貞子風ホラーは13秒尺で平均視聴時間15秒。完了率換算で115%を超え、Engaged Viewsも330件に達した。
一方、同じ構成を用いたアライグマ編は17秒尺で平均視聴時間12秒、再生数338、Engaged Views58。
完了率は約70%に留まり、リーチは前作の4分の1だった。
数字だけを見れば明確な失速だが、評価指標のどこで差が生まれたのかが重要だ。
内容ではなく「推薦条件」の問題
高評価率は両作とも100%。つまり視聴者満足度に差はない。
ではなぜ露出が減ったのか。
結論は「アルゴリズム分類の不一致」だ。
ホラーと可愛い系が混在した結果、YouTubeが興味クラスタを再判定し、推薦配分を一時停止した。
失速は「作品の失敗」ではなく「推薦AIの迷い」である。
アルゴリズムが迷う三つの条件
タグクラスタの分散
アライグマ編の検索語句には「eju」「山本由伸」など無関係なワードが並び、Shorts AIが「関連カテゴリ」を特定できなかった。
タグの揺らぎはチャンネル分類の再学習を誘発し、露出が一時的に減少する。
シリーズを跨ぐ場合でも、上位タグ3つを固定するのが安全だ。
初期CTRの低下
チャンネルページ50%、フィード50%。
新規リーチが足りず、テスト推薦を通過できなかった。
Shortsの初期24時間は「CTR>Retention>高評価」の順で重みが置かれるため、
冒頭1秒の印象とタイトルの行動語が決定打になる。
トーン変更による認識ズレ
貞子編は“緊張→驚き”で瞬間的に感情を喚起。
アライグマ編は“静→癒し”で反応速度が遅れた。
YouTubeのAIは「感情の立ち上がり速度」で分類を行うため、
同じ静止構図でもフックの種類が変わるとクラスタがリセットされる。
制作者側の学びと再現条件
成功型を再現するには
- 上位タグを3つ固定:
#RaccoonCleaners #AI映像 #Shorts - タイトルに動作+セリフを挿入:「今日もていねいに。|アライグマのクリーニング店」
- 13秒尺で統一:リプレイ誘発の最適値。
- 同シリーズを連続投稿:クラスタ学習を安定化。
これらを守るだけで、推薦AIが「継続シリーズ」と認識し、次回以降の露出が戻る。
停滞期を“学習期間”として見る
YouTubeのアルゴリズムは、毎回動画を「分類→推薦→再評価」する。
再評価ウィンドウは平均72時間〜7日。
この間は数字が止まっても、AIは視聴パターンを学習中だ。
焦って削除・再投稿を行うと履歴がリセットされ、再推薦が遠のく。
静的メンテ期として耐えることが最も合理的だ。
人の評価とAIの評価は違う
数値の裏にある構造を理解する
視聴者は「可愛い」「丁寧」と感じて高評価を押す。
しかしAIは「どんな感情に属する映像か」で判断する。
このズレが、完璧に作っても伸びない現象を生む。
制作者がAIの基準を理解すれば、意図的に安定を作り出せる。
学びの再定義と次の行動
失速は失敗ではない。
AIが再分類を完了すれば、同じ構成でも再び伸びる。
重要なのは「人に刺さる構造」と「AIに認識される構造」を分けて考えること。
記事を読んだ方は、まずご自身のショート分析で検索語句とタグの整合性を確認してほしい。
そこから再現性が始まる。
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